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診療放射線技師は読影ができない?読影医不足の対処法を解説

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医療現場では、X線やCT、MRIなどの画像診断が日常的に行われていますが、それらの医療(医用)画像をもとに疾患の有無や進行度を判断する「読影」は、極めて専門性の高い業務です。

本来、読影は医師資格を持つ「読影医」が担うべき診断行為ですが、近年は検査件数の増加や人手不足により、現場ではさまざまな課題が顕在化しています。

この記事では、「診療放射線技師は読影ができるのか?」という疑問に答えるとともに、読影医の役割や診療放射線技師との違い、読影医不足に対する現場の対応策について詳しく解説します。

読影とは

読影とは、X線やCT、MRIなどの医療画像から、疾患の有無や特徴を読み取り、診断に役立てる一連の行為を指します。

読影は、患者の臨床情報と照らし合わせながら、症状の原因を突き止めるための医学的判断が必要です。医療画像に描出される微細な変化や、病気特有のパターンを的確に見極めることが求められ、専門的な知識と経験を必要とする高度な業務です。

読影医とは

読影医とは、医療画像の読影を専門とする医師であり、通常は放射線診断専門医を指します。放射線科専門医は、その専門領域によって大きく2つに分けられます。

1つは、X線やCT、MRIなどの医療画像を用いて疾患の有無や状態を診断する「放射線診断専門医」、もう1つは、がん治療を目的に放射線を照射する計画を立てて実施する「放射線治療専門医」です。

「放射線診断専門医」すなわち読影医は、頭部・胸部・腹部・骨関節など、全身のあらゆる部位の読影に対応できる高い専門性を持ち、診断の中核を担う存在です。

読影医は、ほかの診療科の医師から依頼を受け、取得された医療画像と臨床情報をもとに、病変の有無や性質を判断します。近年は検査件数の増加により、医療画像の読影ニーズが高まっており、特に地方や小規模医療機関では読影医の確保が困難なケースも増えています。

診療放射線技師は読影はできない

診療放射線技師は、医療の現場において医師または歯科医師の指示のもと、放射線を利用した検査や治療を担う専門職です。国家資格を持ち、X線撮影、CT、マンモグラフィ、核医学検査、さらにはがん治療の一環としての放射線照射まで、多岐にわたる業務を担当します。

これらの検査や治療を安全かつ有効に行うためには、高度な機器管理の知識と、患者の被ばくリスクを最小限に抑えるための放射線管理の技術が求められます。

しかしながら、これらの業務に「読影」は含まれません。医療画像の診断や病変の有無を判断する行為は、医師のみに認められた「医行為」であり、医師免許を持たない者が行うことは法律で禁じられています。

診療放射線技師は、読影医が正確な診断を行えるように、患者の容態を考慮した最適な撮影条件などの選定を通じて、鮮明かつ診断価値の高い医療画像を提供することが主な役割です。

診療放射線技師の主な業務内容

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診療放射線技師は、医療現場において医療画像の撮影や放射線治療を専門的に担う国家資格保有者です。

放射線を利用した検査だけでなく、MRIや超音波検査のように放射線を使わない機器の操作にも携わるなど、その業務範囲は多岐にわたります。

また、安全管理や機器の品質保持など、診療の裏側を支える重要な役割も担っています。診療放射線技師の業務内容について詳しく見ていきましょう。

撮影業務

診療放射線技師の主な業務の一つが、医師の指示に基づく医療画像の撮影です。撮影業務は非常に幅広く、胸部や腹部などの一般X線撮影に加え、CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)、マンモグラフィ(乳房X線撮影)、血管造影検査、骨密度測定(DEXA法)、超音波検査、眼底検査など、多岐にわたる検査に対応します。

CT検査や血管造影のように、リアルタイムで画像を取得し、体内の微細な構造を可視化する検査では、正確な撮像範囲や画像収集タイミングの制御が不可欠です。検査内容や患者の体格・病状に応じて、照射線量・撮影角度・画像コントラストなどのパラメータを適切に調整し、診断に必要かつ過不足のない画像情報を提供する高度な判断力と操作技術が求められます。

また、患者の安全を守るためには、放射線被ばくの最小化も極めて重要な責務です。ALARAの原則(As Low As Reasonably Achievable=合理的に達成可能な限り低く)に基づき、被ばく線量を必要最小限に抑えつつ、診断能を維持した医療画像を得るための工夫が常に求められます。

さらに、MRI検査や超音波検査のように、放射線を使用しない検査の操作にも対応することがあります。

読影医への情報提供

診療放射線技師は単に画像を撮影するだけでなく、その質と診断精度に直結する「読影支援」の役割も担っています。

例えば、X線撮影では撮影範囲の設定、CTやMRIでは断面のスライス厚や撮影条件、造影検査では造影剤の注入タイミングや使用量など、診断の目的に応じた細かな調整が求められます。これらの設定を誤ると、病変が見えにくい画像や、必要な情報が不足した画像となってしまい、読影精度の低下や再撮影といった問題を招きかねません。

また、診療放射線技師は撮影中に患者の身体的特徴や症状など、画像に現れない情報も把握しています。観察結果を読影医に伝達することにより、画像だけでは判断が難しい病変の発見や、症状との整合性の確認をサポートします。

放射線治療

診療放射線技師は、がん治療の中でも特に精密な対応が求められる「放射線治療」の現場においても重要な役割を担っています。放射線治療は、高エネルギーのX線や電子線を用いて、体内の腫瘍細胞にピンポイントで照射し、腫瘍細胞を死滅させたり、細胞分裂を抑制したりする医療行為です。

診療放射線技師は、精度管理された放射線治療機器を正確に操作し、医師が立案した治療計画を忠実に実施します。放射線による副作用を最小限に抑えるための安全管理(精度管理を含む)は重要な業務です。

読影負担が高まる現場の現状

画像診断機器の進化と検査件数の増加により、医療現場では読影の重要性が高まる一方、実務を担う人材の不足が深刻な課題となっています。ここでは、読影医の人手不足と技術進歩への対応負荷という2つの観点から、現場が直面している実情を整理します。

読影医は不足している

日本放射線科専門医会・医会によると、国内における放射線診断専門医は約5,600名、放射線治療専門医は約1,200名とされています。

CTやMRIといった高度な画像診断機器の普及により、1件あたりの検査データ量が膨大化している上、がん検診や健康診断などのニーズ拡大によって、読影の対象も多様化しています。

このような状況が続けば、読影医1人あたりの負担はさらに重くなり、以下のような問題が懸念されます。

  • 検査から診断結果の報告までに時間がかかることで、治療開始が遅れる可能性がある
  • 疲労や過密なスケジュールにより、診断ミスや見落としのリスクが増加する
  • 読影医が都市部に偏在しているため、地方医療機関では診断の質やスピードに差が生じる

こうした課題に対応するため、遠隔画像診断支援サービスやAIの活用といった新たな取り組みが求められていますが、それらを導入・運用できるだけの人的・制度的な体制が整っていない医療機関も多いことが実情です。

高度化する検査(CT、MRI、PETなど)への対応負荷

検査機器の進歩により、画像診断の精度や範囲は大きく向上していますが、その一方で読影医に求められるスキルや知識の幅も拡大しています。

CTやMRI、PETといった高度な検査機器は、撮影される医療画像の情報量が非常に多く、それらを正確かつ迅速に読影するには相応の負担がかかります。

また、AI技術の導入や新たな診断支援システムの運用を進めたくても、現場が多忙なままでは導入準備や研修に時間を割けないのが現実です。

技術の進化と人手不足が同時に進行する中で、読影医の業務負担は増すばかりであり、現場には持続可能な体制づくりが求められています。

遠隔画像診断支援サービスで読影医不足に対処できる

近年、医療機関では読影医の不足に対応する手段として、遠隔画像診断支援サービスの活用が進んでいます。これは、検査画像をクラウドや専用ネットワークを通じて外部の読影医に送信し、診断結果を受け取る仕組みです。地理的制約を超えて専門医の知見を取り入れられる点が大きな特長です。

遠隔画像診断支援サービスの導入効果について詳しく見ていきましょう。

診断精度の向上も可能

遠隔画像診断では、特定の分野に精通した読影医に医療画像を委託できるため、専門性の高い診断を受けられる可能性が高まります。

さらに、AI技術を組み合わせることで、医療画像の一次解析や異常所見の自動抽出が可能となり、読影医の判断をより正確にサポートできます。AIは大量の画像データを高速かつ一貫した基準で処理できるため、ヒューマンエラーの低減にも寄与します。

読影の待ち時間が短縮される

遠隔画像診断支援サービスを利用することで、院内で対応しきれない読影業務を分散させ、検査から診断までのリードタイムを短縮することが可能です。例えば、夜間・休日など読影医の常駐が難しい時間帯でも、サービスを通じて読影を依頼できるため、迅速な診断体制を維持しやすくなります。

まとめ

医療現場における画像診断のニーズが年々高まる中で、読影医の不足は深刻な課題となっています。

こうした中、注目されているのが遠隔画像診断支援サービスです。

iMedicalの遠隔画像診断支援サービスは、100名以上の放射線診断専門医と連携し、高品質な診断レポートを提供する体制を整えています。PACSや院内システムとの連携も可能で、オペレーション負荷を抑えつつ、専門性の高い読影支援が受けられる点が強みです。

「読影医の手が足りない」「苦手分野の読影が不安」といったお悩みをお持ちの場合は、iMedicalまでご相談ください。

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