1. HOME
  2. 事業内容
  3. 遠隔画像診断支援サービス
  4. コラム
  5. 医師偏在とは?現状・問題点・国の対策について解説

遠隔画像診断 コラム

医師偏在とは?現状・問題点・国の対策について解説

column23-1.jpg

 

医師不足が深刻だといわれる一方で、「医師そのものの数」は過去と比較して増加傾向にあります。それでもなお、地域や診療科によって医師が足りない現象が起きているのは、医師が均等に配置されていない「医師偏在」という問題が背景にあります。

都市部の大規模病院や人気診療科に医師が集中する一方で、地方や離島、産婦人科・救急科などでは慢性的な人材不足が続き、地域医療の崩壊や患者の不利益につながる事例も少なくありません。

この記事では、医師偏在とは何か、その現状や問題点、国が講じている主な対策について分かりやすく解説します。

医師偏在とは

医師偏在とは、地域や診療科によって医師の数が大きく偏り、必要な医療が適切に提供されない状態を指します。

日本では、都市部の医療機関には医師が集中する一方で、地方や離島などでは深刻な医師不足に陥っている地域が少なくありません。さらに、診療科によっても偏りがあり、例えば産婦人科や小児科、救急医療などでは、医師のなり手が少なく、労働負担の偏在が一層深刻化しています。

医師偏在の現状

医師の地域偏在や診療科偏在は、日本の医療体制が抱える構造的な課題です。単純に「都市と地方の格差」として捉えるだけでは、その実態を正確に把握することはできません。

例えば、2022年の人口10万人あたりの医師数を比較すると、徳島県(335.7人)、高知県(335.2人)、京都府(334.3人)など西日本の一部地域では全国平均(262.1人)を大きく上回っている一方、埼玉県(180.2人)をはじめとする関東や北海道・東北の各県では平均を下回る結果となっており、医師数の多寡は必ずしも都市規模と比例しません。

また、診療科ごとの偏在も顕著です。労働環境が過酷とされる外科や産婦人科、救急科などでは医師のなり手が減少する一方、勤務負担の比較的軽い皮膚科や眼科などには志望者が集中しています。こうした偏在の影響で、特定地域や診療分野では医師が慢性的に不足し、患者の長距離移動や医療従事者の過重労働を引き起こすなど、地域医療の継続性そのものが揺らぐ要因となっています。

出典:厚生労働省「令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況 結果の概要」

医師偏在の問題点

column23-2.jpg

 

医師偏在は、単に「医師が足りない」という数の問題にとどまらず、地域社会や患者の日常生活、日本の医療制度そのものに深刻な影響を与えています。特定の診療科や地域に医師が集中することで、医療の質・アクセス・継続性に大きな偏りが生じてしまいます。

ここでは、医師偏在によって実際にどのような問題が生じているのかを解説します。

特定診療科や地域での医師の過重労働

医師が少ない地域や診療科では、限られた人員でさまざまな業務をこなす必要があり、1人あたりの負担が非常に大きくなります。

例えば、地方の救急科や産婦人科などでは、夜間や休日の対応も含めて長時間勤務が常態化しており、心身の疲労から離職や転職につながるケースも少なくありません。このような過重労働は、医師の健康を損なうだけでなく、医療の安全性にも悪影響を及ぼす可能性があります。

また、継続的な負担が若手医師の定着を妨げ、結果として人材の循環が進まず、負の連鎖が続いてしまいます。

医師不足による医療サービスの制限と地域格差

医師が不足している地域では、患者が必要とする医療サービスが提供されなかったり、制限されたりすることがあります。具体的には、特定の診療科が存在しない、外来や手術の予約が長期間先になるといった状況です。

都市部に比べて地方では医療機関の数も少なく、医師1人が多くの患者を診る必要があるため、十分な説明やフォローアップが難しくなり、医療の質に地域差が生まれてしまいます。

患者の移動負担や緊急時対応の遅れ

必要な診療科が近くになかったり、対応可能な医師がいなかったりする場合、患者は遠方の医療機関まで移動しなければなりません。特に高齢者や慢性疾患をお持ちの方にとっては、定期的な通院や急な受診のたびに長距離を移動することが大きな負担となります。

また、救急搬送時に受け入れ可能な医師がいないと、搬送先の医療機関が見つかるまでに時間がかかり、治療の開始が遅れてしまうこともあります。

医療体制の継続困難と地域医療の衰退リスク

医師が定着しない地域では、医療体制そのものの継続が難しくなるおそれがあります。例えば、地域の中核となる医療機関が医師の確保に失敗して診療科を縮小し、最終的に閉院してしまうといった事例も見られます。

こうした場合、住民の方々は医療機関を利用できなくなり、日常的な健康管理や予防医療の体制も失われてしまいます。医療提供体制の空洞化は、医療だけでなく、その地域に住み続けることさえ困難にしてしまう要因となります。

結果として、人口流出や高齢化が加速し、地域の存続そのものにも影響を及ぼすことになります。

国が策定した医師偏在対策

医師偏在の是正に向けて、国は医師の養成段階から勤務後の定着支援、制度的な誘導策まで、多角的な対策を講じています。ここでは、厚生労働省を中心に進められている主な取り組みを紹介します。

医師養成過程を通じた取り組み

医師の地域定着を図るため、医学部の地域枠制度や自治医科大学の枠組みを活用し、地域で働く意思を持つ学生の確保を進めています。卒業後は一定期間、指定地域で勤務することを条件とした制度であり、医師不足地域への人材供給を安定化させる仕組みとなっています。

また、地域医療に関する教育をカリキュラムに取り入れ、将来的な地域医療への理解と関心を高める取り組みも行われています。

医師確保計画の実効性の確保

医師偏在を是正するために、都道府県ごとに「医師確保計画」が策定されており、その計画の実効性を高めるための仕組みが強化されています。具体的には、各地域における医師数の変化や診療科別の需給バランスを継続的にデータで把握し、必要に応じて計画の内容を見直すサイクルが導入されています。

また、医師の偏在状況をより正確に捉えるために、「医師偏在指標」や「外来医師過多区域・医師少数区域」などの定量的な評価基準が用いられています。これにより、自治体は実態に即した人材配置や補助制度の適用を進めることが可能になります。

地域偏在対策における経済的インセンティブ

医師が重点区域での勤務を選択しやすくするために、経済的な支援策も検討・実施されています。例えば、診療所の承継や開業、地域への定着を支援する施策が令和8年度から重点的に実施される予定です。

さらに、勤務環境や生活環境の改善、派遣元医療機関への支援強化、派遣医師や地域で勤務する医師への手当増額も予定されており、これらは給付費の中で一体的に捉えた上で、保険者全体で広く負担する仕組みが想定されています。

また、医師の掘り起こしや全国的なマッチング支援、リカレント教育(医師が総合的な診療能力を学び直す機会)の整備にも力を入れており、都道府県と大学病院等との間で、医師派遣・配置や地域枠の活用、寄附講座の設置に関する連携パートナーシップ協定の締結も推進されています。

地域医療機関の支え合いの仕組み

地域での医師確保に向けて、医療機関間の支え合いを促進する制度改正も行われています。具体的には、医師少数区域等などでの勤務経験を求める「管理者要件」の対象医療機関として、公的医療機関や国立病院機構、地域医療機能推進機構、労働者健康安全機構の病院などが追加されました。勤務期間についても、これまでの6カ月以上から1年以上へと延長され、より実効性のある制度へと改善が図られています。

さらに、外来医師が過多な区域において新たに開業を希望する医師に対しては、地域で必要とされる医療機能の提供を要請できる仕組みが整備されました。都道府県は、開業6カ月前に医療機能の届出を求めることで、地域で不足している医療の提供を促すとともに、協議への参加を求めることが可能となっています。要請に応じない場合は、医療審議会での説明義務や勧告・公表、保険医療機関の指定期間短縮といった措置が講じられる可能性もあります。

また、保険医療機関の管理者については、2年間の臨床研修と3年間の保険診療の経験が必要とされ、管理者としての責務も新たに規定されています。

診療科偏在の是正に向けた取り組み

診療科間での医師偏在を是正するため、厚生労働省では若手医師が敬遠しがちな診療科への誘導施策が進められています。特に外科、産婦人科、救急科、小児科などは、夜間対応や急変対応といった負担の大きさから人材不足が深刻化しており、医療体制の維持にも影響を及ぼしています。

この状況を踏まえ、処遇改善として給与水準の引き上げや宿直回数の軽減、労働時間短縮のためのチーム医療体制の強化など、具体策の検討が進められています。さらに、当直明けの休養確保や専門職支援チームの導入といった勤務環境の整備も進められている状況です。

また、診療報酬の面では、負担の重い診療科に対して手厚い評価を行うことで、医療機関側が該当診療科の強化に取り組みやすい仕組みが議論されています。特定の科に偏ることなく、医師が自身の適性や興味を生かしながら安心してキャリアを築けるよう、制度面と職場環境の両面からの支援が強化されています。

まとめ

医師偏在は、医療の質と公平性に大きな影響を及ぼす深刻な課題です。特に地方や特定診療科における医師不足は、住民の健康や地域医療の継続性に直結する問題となっており、国も養成・配置・定着の各段階を通じた対策を講じています。

こうした公的な取り組みと並行して、現場では遠隔医療技術の活用も重要性を増しています。中でも、遠隔画像診断支援サービスは、地域に専門医が不在でも質の高い診断を受けられる仕組みとして注目されています。CTやMRIの画像データを遠隔地の読影医が解析することで、医療機関の負担軽減や診療体制の補完につながります。

iMedicalの遠隔画像診断支援サービスでは、放射線診断専門医による読影体制を通じて、地域医療機関の診断精度向上と業務負担軽減を支援していますので、お気軽にご相談ください。

遠隔画像診断支援サービス紹介ページはこちら




 CONTACT
お問い合わせ

まずはお気軽にご連絡ください。