肺がんの遠隔読影のメリットは?二重読影の有益性や方法を解説

肺がんは早期発見が難しいがんの一つであり、画像診断の精度が患者の生命予後に大きな影響を及ぼします。近年、こうした課題に対応するため、遠隔読影や二重読影といった技術が普及しつつあります。
本記事では、肺がん検診における遠隔読影のメリットや方法について詳しく解説します。
肺がんにおける遠隔読影と二重読影のメリット
遠隔読影は、医療機関で撮影されたCTやMRIなどの画像データをインターネット経由で遠隔地にいる専門の読影医に送信し、診断してもらう仕組みです。
読影医は受け取った画像をもとに診断を行い、診断結果を報告書として依頼元へ返送します。
一方、二重読影は同じ画像データについて、複数の医師がそれぞれ読影を行う方法です。1人目の読影医が見落とした所見があっても、2人目がいることで発見される可能性が高まるため、診断精度向上の効果が期待できます。
ここでは、遠隔読影と二重読影を導入するメリットについて詳しく解説します。
精度向上と早期発見の促進
肺がん検診において、画像診断の正確さは命に直結します。遠隔読影を導入することで、専門性が高い読影医による高精度の診断を得ることができます。
また、二重読影により複数の専門医が同一画像を確認し合うため、見落としのリスクを大幅に低減します。肺がんの早期発見が促進され、治療成績の向上にもつながります。
地域間格差の解消と医師不足対策
遠隔読影の導入は、地域間における医療サービスの質の格差を是正する手段の一つです。
放射線科専門医が不足している地方や離島においても、都市部の専門医による読影が可能になり、診断レベルの向上が期待できます。さらに、医師不足による一人あたりの負担を軽減し、医療の働き方改革にも寄与します。
複数専門医の診断による誤診防止
1人の医師による読影では主観の影響を受けるリスクがありますが、二重読影によって異なる視点からの評価が加わることで、誤診の可能性が減少します。
肺がん検診では、微細な病変の見落としを防ぐためにも、二重読影の検討が大切です。また、診断の客観性が高まることで、患者に対してよりよい診療方針を提案しやすくもなります。
検診プロセスの効率化と患者負担の軽減
遠隔読影と二重読影を取り入れることで、検診結果の報告までの時間が短縮され、患者へのより迅速な対応が可能となります。また、待機期間が短くなることで、患者の精神的な負担も軽減されます。
医療機関にとっても、読影業務を外部に委託することで医師が別の業務に取りかかれるようになるため、検診業務の効率性が高まります。
肺がんにおける遠隔読影の注意点
肺がん検診における遠隔読影にはメリットがある一方で、課題もあります。
ここでは、遠隔読影の導入にあたって注意が必要な点について解説します。
依頼先によっては精度が低い
遠隔読影は画像診断の精度向上や効率化に有効な手段である一方で、依頼する読影医や医療機関のレベルによっては、診断精度が十分でないリスクがあります。
遠隔であるがゆえに、読影医の技量や読影体制について直接確認しづらい側面もあり、依頼先の選定には慎重な判断が求められます。
費用対効果の測定が必要
遠隔読影や二重読影の利用には、システム導入費用や依頼費用が発生します。コストに見合った診断精度の向上や業務効率化の効果を十分に得られているかどうかを、運用体制の整備や診断精度の継続的なモニタリングなどで定期的に検証することが重要です。
肺がんの遠隔画像診断支援サービスとは
遠隔画像診断支援サービスは、医療機関で撮影されたCTやMRIなどの画像を別の医療機関の読影医に送信し、画像診断を依頼できるサービスです。
ここでは、遠隔画像診断支援サービスのメリットと注意点について解説します。
メリット
遠隔画像診断支援サービスを導入することで、複数の医師によるダブルチェックが可能になります。画像診断は高い正確性が求められる領域であり、二重に確認する体制を整えることが、より確実な診断につながります。
また、日本ではCT検査やMRI検査の件数が多く、これに対して読影医の数が不足している状況が続いています。2015年度には、人口1,000人あたりCT検査が229.2件、MRI検査が113.4件実施されており、放射線科医1人あたりの潜在的な業務量は8,137件に達しました。
特に地方部の小規模医療機関では、放射線科医を確保することが難しいケースが多く、迅速な画像診断が困難になることもあります。遠隔画像診断支援サービスを活用すれば、遠隔地にいる専門医に画像を送信して読影を依頼できるため、地方医療機関における読影体制の強化に役立ちます。
出典:厚生労働省「医療機器の効率的かつ有効・安全な利用について」
注意点
遠隔画像診断支援サービスを利用する際は、依頼先となる読影医や医療機関の診断精度に注意が必要です。依頼先によっては、期待していた精度が得られないリスクがあります。

関連記事:遠隔画像診断支援サービスの導入方法は?メリット・費用なども解説
まとめ
肺がん検診における遠隔読影と二重読影には、診断精度の向上、地域間格差の是正、医師不足対策、検診プロセスの効率化など、さまざまなメリットがあります。
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