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マンモグラフィ読影医とは?役割・認定プロセス・求められる背景を解説

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乳がんは、日本人女性のがん罹患率・死亡率ともに高く、早期発見・早期治療が何より重要とされています。

その中核を担うのが、マンモグラフィ検査における読影を専門とする「マンモグラフィ読影医」です。

マンモグラフィ読影は、わずかな異常も見逃さずに、正確に画像を読み取る高度な技術が要求され、診断の成否は読影医の技量に大きく左右されます。

本記事では、マンモグラフィ読影医の役割や認定プロセス、求められる背景などについて詳しく解説します。

マンモグラフィ読影医とは

マンモグラフィ読影医は、「特定非営利活動法人 日本乳がん検診精度管理中央機構」が管理している認定制度で、マンモグラフィ検査とX線検査の専門的な知識を用いて高精度で読影できることが認められた医師のことです。正式名称を「検診マンモグラフィ読影認定医師(以下、マンモグラフィ読影医)」といいます。

乳がんは早期発見が重要ながんであり、わずかな異常を見逃さずに画像から読み取る力が求められます。マンモグラフィ読影医は、単に経験だけが求められるのではなく、厳しい基準に基づく専門的な審査によって認定が行われています。

マンモグラフィ読影医が求められる背景

マンモグラフィ検査はその特性上、読影医の技量によって診断精度に大きな差が出やすく、単なる検査実施だけでは十分とはいえません。

こうした中で、専門的な訓練と審査を受けたマンモグラフィ読影医の存在が不可欠となっています。

ここでは、マンモグラフィ読影医が求められている理由について、「乳がん患者の増加」と「高い技量と経験の必要性」という2つの観点から詳しく見ていきます。

乳がん患者の増加

乳がんは、日本において年々患者数が増加しているがんの一つです。現在では、年間約9万人の女性が新たに乳がんにかかると推定されており、さらに乳がんで亡くなる方の数は過去50年間でおよそ7倍に増加しています。

乳がんの罹患率は、30歳前後から急速に増加し始め、40代後半にピークを迎えます。その後、60代後半以降は徐々に減少傾向になりますが、高齢になっても一定のリスクが続くため注意が必要です。

患者数の増加に伴い、より多くの人が検診を受ける必要性が高まっています。とりわけ乳がんは、早期発見ができれば治療成績が大きく向上するがんであるため、検診の段階でわずかな異常を見逃さないことが重要です。

このため、マンモグラフィ検査においても高度な読影技術が求められ、専門的な知識と技能を備えたマンモグラフィ読影医の重要性がこれまで以上に高まっています。

参考:がん情報サービス「乳房」

参考:日本対がん協会「乳がん検診のすすめ」

高い技量と経験が必要

マンモグラフィは、読影技量によって診断結果が大きく左右される検査です。正確な診断を行うためには、高い読影能力を備えたマンモグラフィ読影医の存在が不可欠です。

乳がん検診では、がんを見逃さないことが最優先とされるため、実際にはがんではない症例についてもリスクを考慮してカテゴリー3以上に分類することがあります(偽陽性)。しかし、実際には乳がんではないにもかかわらずカテゴリー3以上に分類されると、患者の精神的ストレスは大きいものとなります。患者に過剰な不安や不必要な検査負担を与えないためにも、読影精度の高さが求められます。

加えて、アジア人は欧米人に比べて乳房内の組織密度が高い高濃度乳房(デンスブレスト)の割合が多いとされており、マンモグラフィ画像上で腫瘍を判別するのが難しいケースも少なくありません。このような背景から、豊富な知識と確かな読影力を持ったマンモグラフィ読影医の存在が重要視されています。

マンモグラフィ読影医の認定

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試験評価

マンモグラフィ読影医の認定で特徴的なのは、試験結果に応じてAからDの4段階に評価され、その評価に応じて認定の可否が決定される点です。試験評価がAまたはBに該当する者は、検診マンモグラフィ読影認定医師として正式に認定されます。

なお、試験評価がB以下でランクアップ希望者は、6カ月以上の研修・研鑽を積んだ後に再受験が可能です。

必要に応じて更新する

マンモグラフィ読影医として認定された後も、資格を維持するためには定期的な更新が求められます。対象となるのは、認定試験でAまたはB評価を取得したすべての医師です。

更新方法には複数の選択肢があり、更新講習会への参加、マンモグラフィ読影試験(いわゆるランクアップ試験)の受験、指導者研修会への参加(講師経験者に限る)、通常の講習会を改めて受講する方法が用意されています。

認定資格の有効期間については、更新方法によって起算点が異なります。更新講習会を受講した場合は、以前の有効期間満了時点から新たに5年間が設定されます。一方、ランクアップ試験や指導者研修会など、更新講習会以外の方法で更新した場合は、その参加日を起算日として5年間の有効期間が設定されます。

マンモグラフィ読影医にはランクがある

マンモグラフィ読影医として認定される際には、単に合格か不合格かだけで区分されるわけではありません。読影試験の結果に基づき、読影医には複数のランクが付与されます。これは、個々の読影精度を可視化し、検診の質をより高く保つための仕組みです。

自身のランクに応じて、さらなる研鑽や再試験を通じてステップアップを図ることも可能です。マンモグラフィ読影医のランクについて詳しく見ていきましょう。

4段階評価に分かれている

マンモグラフィ読影医のランクは、試験の成績に応じて4段階に分けられています。もっとも評価が高いのがAで、B、C、Dと続きます。また、この4つの評価のほかにASという特別なランクも存在します。

各ランクの基準は下記のとおりです。

評価 基準 スキル
AS 感度90%以上・特異度90%以上・C感度85%以上 検診マンモグラムの読影と指導の実力を持つ
A 感度90%以上・特異度90%以上 検診マンモグラムの読影責任者の実力を持つ
B 感度・特異度ともに80%以上 検診マンモグラムの読影の実力を持つ
C 感度・特異度ともに70%以上 さらなる研修が必要
D 上記の条件に満たない者 検診マンモグラムの読影を始める前に、マンモグラムの基礎を勉強する必要がある

 

ランク付けは単なる成績評価にとどまらず、検診に携わる読影医としてどの程度の診断精度を持っているかを示す指標にもなっています。

高いランクを維持することは、検診の質を支え、患者に対する診断の信頼性を高める上で重要な意味を持ちます。

ランクを上げるには試験を受ける必要がある

一度付与されたランクに満足せず、さらに上位のランクを目指す場合には、改めて読影試験を受けることも可能です。

単なる経験年数の積み重ねだけではランクは上がらず、最新の知識と技術に基づいた読影力が求められます。

乳がんの診断に遠隔画像診断支援サービスを利用するメリット

乳がん検診においては、限られた時間とリソースの中で、できる限り高い診断精度を維持することが求められます。近年、こうしたニーズに応える手段として注目されているのが、遠隔画像診断支援サービスです。

ここでは、乳がん診断における遠隔画像診断支援サービスの代表的なメリットについて解説します。

診断精度の向上

遠隔画像診断支援サービスを活用することで、豊富な経験と専門知識を持つ読影医による診断を受けることができるため、診断の精度向上が期待できます。

微細な異常所見の見落としを防ぐためには、マンモグラフィに精通した読影医による慎重な確認が不可欠です。遠隔診断を通じて、各医療機関が抱える読影レベルのばらつきを補正し、より均一で質の高い診断結果を得られる環境が整えられるようになります。

医師不足や専門医の偏在解消

乳がん検診を担当できる放射線科医や乳腺専門医は、都市部に集中する傾向があり、地方や中小規模の医療機関では専門医の確保が難しいという課題があります。

遠隔画像診断支援サービスは、こうした専門医の偏在を解消する手段として有効です。地理的な制約に縛られることなく、必要に応じて専門医に読影を依頼できるため、全国どこでも一定水準の診断が提供できる体制づくりに役立ちます。

医師の負担軽減

日々さまざまな検査を実施しなければならない医療現場において、読影業務の負担は医師にとって大きなものです。遠隔画像診断支援サービスを利用することで、読影件数を適切に分散させることができ、医師一人ひとりの負担軽減につながります。

過重労働を避けることで、集中力を維持しやすくなり、診断ミスのリスクを減らす効果も期待できます。また、医師が本来の診療業務により時間を充てられるようになり、患者対応の質向上にも寄与します。

乳がんの診断に遠隔画像診断支援サービスを利用する注意点

遠隔画像診断支援サービスは、診断精度の向上や医師不足への対応などさまざまなメリットをもたらしますが、一方で導入や運用に際して注意すべき課題も存在します。

ここでは、乳がん診断において遠隔画像診断支援サービスを利用する際に考慮すべき注意点について解説します。

サービスによって品質や対応が異なる

遠隔画像診断支援サービスは提供する事業者によって内容に違いがあり、読影医の専門性や診断精度、対応スピードなどにばらつきが見られる場合があります。

特に乳がん検診では、読影の精度が診断結果に直結するため、サービスの品質に対する慎重な見極めが欠かせません。

そこには読影医の質に加えて、マンモグラフィ読影専用の5MP高精細モニタを準備しているかなど、読影環境に十分な投資がなされているか確認することも重要です。

価格や納期だけで判断するのではなく、提供される読影レポートの信頼性や、万が一の際のサポート体制なども総合的に確認し、医療機関にとって最適なサービスを選ぶことが重要です。

まとめ

マンモグラフィ読影医は、乳がん検診の精度を支える専門医であり、その存在は年々重要性を増しています。

乳がんの患者数が増加し、早期発見がますます求められる中で、高い読影技量と豊富な経験を持つ読影医による診断は、患者の生命予後に直結する重要な役割を果たしています。

マンモグラフィ読影医になるには、指定された講習会の受講と認定試験の合格が必要であり、さらに診断精度に応じたランク制度も設けられています。

また、医療現場では、遠隔画像診断支援サービスによって、マンモグラフィ読影医の地域偏在の解消や医師の負担軽減が実現されています。

一方で、サービスごとの品質差といった課題もあり、導入に際しては慎重な検討が求められます。

iMedicalの遠隔画像診断支援サービスは、医療機関で撮影されたCTやMRIなどの画像データを、遠隔地にいる読影医に送信し、読影結果をレポートとして返却する仕組みです。

契約する放射線科診断専門医は100名以上です。4つの大学病院と連携し、診断品質の高さを維持しながら、急速に増加する依頼にも安定的に対応できる体制を整えています。

読影体制の強化や診断精度向上をお考えの医療機関様は、ぜひiMedicalにご相談ください。

遠隔画像診断支援サービス紹介ページはこちら

(監修:加納 裕士)




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